固定残業代は最低賃金の計算に入れられません

前回は最低賃金の計算に、残業代は含めないことをお伝えしました。

それでは、「固定残業代」はどうでしょうか?

雇用契約書で「残業〇時間分に対して、○○○円を残業手当として支給する」と定めている場合があります。

「毎月、固定額を支給しているから、最低賃金の計算に入れるよね?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、固定額であっても残業代は残業代です。

固定残業代は最低賃金の計算には入れられません。


【最低賃金を下回ってしまう例】

たとえば、東京都の事業所で働く人が、

基本給20万円+固定残業手当3万円=月給23万円

という給与体系だったとします。

固定残業手当が時間外労働に対する割増賃金として支払われているものであれば、最低賃金との比較では除外します。

つまり、この例では

固定残業手当3万円を除いた20万円で、最低賃金をクリアしているか確認する必要があります。


実際に計算してみましょう。

「1時間当たりいくらの賃金か」という時間単価を計算します。

“何を何で割るか”が大事な問題です。

 

①「何で割るか?」
一般的には月平均所定労働時間で割ります(就業規則等で別の規定があることがあります)。

年間休日120、1日の所定労働時間8時間だとすると年間の所定労働時間は、

年間労働日数245日×8時間=1,960時間。

したがって、1か月平均所定労働時間は、1,960時間÷12か月=約163.33時間

となります。

 

②「何を割るか?」

今回の例では月給総額の23万円ではありません

3万円の固定残業手当は最低賃金との比較から除外するため、対象となる賃金は基本給20万円です。

200,000円÷163.33時間=1,224

東京都の新しい最低賃金は1,280ですから、

約1,224< 1,280

となり、最低賃金を下回ってしまいます。

この条件の場合、最低賃金をクリアするためには、固定残業手当を除く最低賃金の対象賃金だけで、1,280円×163.33時間=209,067円以上

が必要になります。

基本給は「だったらいくらにすればいいの?」と思われるかもしれません。

東京都において、土日祝休み、1日8時間の、誤解を恐れずに言えば「普通の会社」においては、

基本給+固定の手当(残業代は×)は、2026年10月勤務分以降は、210,000円以上が目安と言えるでしょう。


今回のブログでは、ごく一般的な例を簡単にお伝えしました。

実際には、事業所ごとに就業規則、雇用契約、勤怠ルールがあります。また、同じ事業所でも従業員さんによっても働き方や雇用契約の内容が異なることが多いです。労働法規はとても複雑で、例外など様々な規定があります。

また、固定残業代には微妙な問題がありますので、実施と運用には必ず守らなければならない事項がいくつもあります。

決して事業主様ご自身で判断をされず、必ず社会保険労務士へご相談ください。

労務にお尋ねしたいことがある方、不安な点をお持ちの方は、お気軽にLEO社会保険労務士オフィスまでお問い合わせください。

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