なぜ労務トラブルが起きるのか?
就業規則が無い。
常時10人以上の労働者がいる事業所では就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
実際には、10人もいない事業所も多いでしょう。特にクリニック様はそうですね。
「だったら、うちは就業規則なんていらないよね」「雇用契約書で伝えているからそれでいいよね」
そう思われる院長先生や事業主様もいらっしゃるでしょう。
ところが、就業規則がないことが労務トラブルの原因となります!
例えば、こういうことが起きたらどうしますか?↓
①服務規律を伝えられない
就業規則には、従業員が為すべきこと、逆にすべきではないことを盛り込んでいる記述がよくあります。これが服務規律です。
「どこにも、ダメって書いてないじゃないですか~」
就業規則が無いと、従業員さんが不適切な言動を行ったとき、なぜそれがダメなのか言える明確な根拠が無いことになります。
②ハラスメント対策が弱くなる
セクハラ、パワハラ、マタハラ・・・どんな言動がハラスメントになるのか、それを従業員さんに伝えることも就業規則の大切な役割です。
「ハラスメントをしたつもりはありません!」
従業員さんがそう主張していても、自分の主観で決まるものではありません。
③懲戒処分の根拠が無い
従業員に何か問題行動があった時、程度に応じて懲戒処分をしなければならない場面があり得ます。
「なんでこんな処分を受けないといけないんですか?」
就業規則が無いと、どんな行為に対してどの処分が妥当であるのか、根拠を示せないことになります。
上記は想定されることの一例です。他にも労働時間や賃金に関してなど、いろいろあるでしょう。
また、助成金を申請しようとするとき、就業規則の規定があることが要件の一つになったりすることもあります。
国としても、10人未満の事業所でも、就業規則に準じるものを作成することが望ましいとしております。作成し、従業員に周知すれば、就業規則と同じ効力があるとされております。
労務トラブルを予防するため、10人未満の事業所でも就業規則の作成をお勧めします。