カスハラ対策奨励金

「カスタマーハラスメント」という言葉をここ数年聞くようになりました。

直訳すると、「顧客からの嫌がらせ」です。

令和7年4月には改正「労働施策総合推進法」で、事業主に対して従業員をカスハラから守るため、雇用管理上必要な措置を取る義務が定められました。

 

政府はカスタマーハラスメントにあたる事例を以下のように示しています。

 

  1. 暴行・脅迫
  2. 威圧的な言動
  3. 人格否定・侮辱的発言
  4. 長時間拘束
  5. 不当、過剰な要求
  6. プライバシー侵害

 

 従業員への暴言、暴力は言うまでもありません。土下座の強要は「威圧的な言動」にあたります。従業員への差別的な言動は「人格否定・侮辱的発言」に該当します。

 そのほか、不当な値下げ要求や、従業員のプライベートをSNSで公開するといった行為もカスハラとなります。

 東京都では、カスハラ対策義務化を受けて事業主の取り組みを促進するため、「カスタマーハラスメント防止対策事業奨励金」(カスハラ対策奨励金)を実施しています。

 


カスハラ対策奨励金の主な要件

要件①カスハラ対策マニュアルの作成と周知

カスハラを受けたらどうするか。

マニュアルを作成して従業員に周知すること。

 

要件②基本方針を院内に掲示すること

最近駅でも見ませんか?「駅員に対して暴力、暴言やめてください」というポスター。こういったものです。

要件③録音・録画機器を購入すること(またはAIシステムの導入、外部研修を行う)

電話に録音機を取り付けるか、録画機材を設置するなどの取り組みです。

または、社会保険労務士など専門職による外部研修を受けることも対象になります。

                                       

 

カスハラ対策奨励金の受給額

 

40万円です。

 

雇用保険の適用事業所でなくても申請できます。

現段階(2025年7月末)では3回に分けて募集が予定されております。第2回は2025年9月の予定、第3回は未定です。

 


カスハラ対策奨励金の留意点

国の助成金と比べると、取り扱いに違いがあります。

 1.受付は電子申請のみです。

 Gbiz IDという電子申請用のIDが必要になります。まだお持ちで無い場合は、発行に2週間ほどかかりますので、早めにご用意されるとよいでしょう。

 

  2.事業主様ご自身で申請画面の入力が必要になります。

 国の助成金であれば、社会保険労務士での提出代行ができますが、カスハラ対策奨励金はご自身で操作いただくところがございます。

 

  3.要件が変更になる可能性があります。 

 上記の要件は2025年7月募集の第1回目の要件でした。

 第2回では、要件が変更になる可能性があります。

 

 4.東京都で1年以上、事業を営まれている方が対象です。

 

顧問契約がなくてもご相談をお受けいたします

 ほとんどの社会保険労務士事務所では、定期的な顧問契約をされている事業主様に限って助成金の相談を受け付けております。弊所も同様です。

 しかし、カスハラ対策奨励金は、国の助成金ではなく、またそれほど長期間かからないと見込まれますので、顧問契約をされていない事業主様からもご相談を承ります。

 また、申請のご相談だけでなく、要件の一つとなっている「社会保険労務士による外部研修」も実施いたします。

 

 従業員さんをカスハラから守る対策のため、東京都の事業主様におススメしたく思います。

 ご相談をお待ちしております。

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