国会議員秘書とは?
社会保険労務士になってから、他の士業の皆様へ、あるいは事業主の皆様へ、経歴を含めて自己紹介をする機会がたくさんあります。
過去の経歴を振り返る中で、社会保険労務士を志した理由を話しますが、とりわけ私の経歴の中で皆様の関心を引くのが、「国会議員秘書政策担当秘書」のようです。
「何をする仕事?「どうやってなるの?」
そんなご質問をよくいただきますので、今回は国会議員秘書とは?について、あくまでも私見ですがいくらか書き綴ります。私が議員秘書だったのは、十数年以上前なので、現在とは違うことがありましたらご容赦ください。
国会議員秘書には種類があります
まず大きく分けて「公設秘書」と「私設秘書」があります。
公設秘書とは文字通り国費で賄われる秘書です。身分は特別職国家公務員です。所属は衆議院または参議院です。
議員一人につき、政策担当秘書、第一秘書、第二秘書の3人がつきます。このうち、政策担当秘書には資格が必要となります。
国会議員秘書秘書試験がありますが、この試験の合格と同等の能力を持つとみなされる資格を持つ者もなることができます。具体的には医師、司法試験合格、公認会計士などです。博士号や著書をもって資格を取得する方もいます。私は、国家公務員一種試験合格による資格を得ました。
ですが、第一秘書や第二秘書を長年勤めた方が研修を受けて資格を得ることができ、実際にはこれが最も多いと言われております。そのため、資格試験の形骸化を指摘する意見もあります。
一方で、私設秘書とは議員が私費で雇います。身分は公務員でも会社員でもなく、何でもないです。健康保険・厚生年金保険の被保険者にもほとんどはならず、労働者性がどれだけあるのかも疑問です。
多くはないと思いますが、私設秘書が雇用保険の被保険者になるケースもあるようです。一時、コロナで多数の事業所が縮小を余儀なくされた時代に、国会議員事務所が雇用調整助成金を受け取っていたと批判を浴びました。雇用保険が適用される事業所にはなり得ますし、助成金受給も違法ではありません。ただし、助成金が国会議員事務所のためのものかと考えれば、批判もあるでしょう。
それから、たまに「秘書検定」持っているとなりやすい?と聞かれることがありますが、これは民間の検定です。残念ながら国会議員秘書とは全く関係ありません。
国会議員秘書にはどうやってなるのか
よく「どうやってなるの?」とお尋ねをいただきます。
一言で申しますと「議員の一存」です。ただし、これは政党の性質により違いがあります。組織が秘書を差配する政党もあります。
私の場合は、先の記事でお伝えしたように、大学の先輩の伝手で議員を紹介いただいて、採用された経緯があります。
公設秘書の場合は、議員が「この人物を秘書にする」と議院事務局に届け出ることにより、秘書になります。
私設秘書になる手続きは何もありません。給与額も人によってまちまちです。秘書の名刺を持たされれば秘書になるという感です。ただし、これは私の個人的な感覚なので、異なるお考えの方もいらっしゃるでしょう。
どんな人が議員秘書になるのか
いろんな人がいます。以下の3パターンのいずれかとは言われていましたが、ほんとうにいろいろなので、類型に当てはまらない人も多いでしょう。
1)秘書として、議員または政党に尽くす人生を送る人
2)一つのキャリアパスとして経験を積む人
3)自分が選挙に立候補したい人
私のように、前職は学生というケースは稀です。それほど将来プランはなかったのですが、結果的には2)のキャリアパスになりました。
元々の知り合いで選挙からともに活動してきた人がそのまま秘書になることも多いです。選挙区の自治体議員や後援会長など有力者の息子さんや娘さんを秘書にしていることもあります。あるいは業界団体や支援組織、労働組合から来る人もいます。「秘書にしてくれ」と自らを売り込みに来る方もいます。
要するに、いろんな人がいます。
何をする仕事?
業務内容は、国会勤務か地元(選挙区)勤務かによって大きく異なります。
私は国会も地元も両方やっていたこともあり、最もイメージをお伝えしやすい例として「芸人のマネージャーみたいなものです」とお話しています。
議員といっしょにネタを考える、つまり国会での質疑を考えたり、資料を作ったりすることもあります。スケジュールの管理や調整もしますし、議員自身が行けない会合に代理出席することもよくあります。
ご縁があった方の名簿を作成して、DMや会合のご案内を送ることもあります。イベントの企画、運営もします。
また私は、講演のスライド作成とオペレーションもよくやっていました。議員とともに次から次へと講演や会合を回っては旅芸人のような気分になってたりしていました。
地元勤務の秘書さんたちは日々、後援会づくり、コネクションの醸成に励み、選挙になれば番頭となって仕切ります。
また、私は担当しませんでしたが、収支報告書の作成も秘書の重要な仕事です。
今思えば、名簿や講演資料を作成するといった地味で根気のいる仕事をしていたことで、勤怠管理や給与計算といった細かな精度を求められる仕事を苦にせずできるかもしれませんね。
クリニック様だけでなく様々な業種の方からの労務相談や給与計算などについてのお問い合わせを受け付けております。紙のタイムカードをお使いの事業所様、これから勤怠システムの導入を検討されている事業所様、お気軽にお尋ねください。